2279人が本棚に入れています
本棚に追加
そうだ。いつも後悔している。
惚れた女を事故に巻き込み、過去へタイムスリップさせちまったきっかけを作っちまった事を。
傍に居て守ってやりたいのに、あがらえない壁が俺の邪魔をして…助けの手すら届かねえ。
もどかしくて、非力さすら恨んで。
あいつが危ない目にあってるかも知んねえ時に、ただ安穏と日々を過ごすだけの自分自身にも腹が立つ。
「俺は雅さえ、雅さえいてくれたら他には何もっ…!」
「…いらない?」
不意に陰りを見せた表情が、一瞬息を止める。
「そんなの、言われなくてもわかってるよ…バーカ。」
「…平助?」
「後悔してるんでしょ?俺なんかに関わって…」
「い、いや、それは…」
興奮して言い過ぎたと気付いても後の祭り。
「…事故のせいだけじゃないじゃん。元はと言えば俺が『あっち側』から雅に逢いたいって願ったのがいけなかったんだ。ゴメンね?代わりに俺なんかが蓮司の傍に居て。こんな事になるならいっそそのまま一人で大人しく…くたばっちゃえば良かったのにね…」
「ーっ!」
ホロリと落ちた、一粒の雫。
泣かせたのは間違いなく、独りよがりで無神経な俺の言葉のせいだ。
最初のコメントを投稿しよう!