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「…悪かった。一番不安なのはお前なのに…」
「い、いいよ今更。雅に比べたら…俺の存在価値なんて知れてるし。」
「そういうつもりで言ったんじゃ」
「違わないじゃん!…母上だって雅だけを連れてったんだって前に言っただろ!?結局父上にも見限られて…っ!」
人目も憚からず喚き、物凄え音でズルズルと啜られ続ける垂れっ鼻。
平助が落胤と呼ばれる由縁は本人から聞いちゃいたけども…
「元から…双子は不吉とされてたんだ。きっと俺の方が…生まれてきちゃいけなかっ、たんじゃ…ないかって思」
だからってな!
「ーー黙れっ!!」
これだけは絶対に、受け入れちゃいけねぇし認めねぇ。
初っ端から〝死〟ばかりを臭わせるこいつには心底腹が立つ。
「てめえに与えられた命を否定すんじゃねえっ!」
天下の往来で胸倉を掴み上げれば夜の繁華街を行き交う奴等が、何の騒ぎかとざわつきながら足を止める。
だが、そんな冷たい視線なんざ痛くも痒くもねえ。
「今も昔も世の中にゃあなっ、てめえと似たような境遇にいる奴等はごまんといんだよ!生きたくても生きられねえ奴もいるんだっ!それをてめえは、自分だけが世界中の不幸背負ってるみてえにいつまでも辛気臭え顔しやがって!!そんなに不幸自慢がしてえんなら、俺が世話んなった孤児院に連れてってやるぜ!産まれた直後に親に捨てられた赤ん坊と、まだ小っせえのに虐待受けて身体中傷や火傷の痕だらけのチビ達もいる!そいつら目の前にしても、まだてめえは何か言えんのか!?」
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