嫌よ嫌よも…

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「ヒ…ヒ…」 何だか最近凄く、鼻がムズムズする。 「…ぶえっきし!!」 「ヤダばっちい!ここまで飛んで来たじゃないの!」 「…あー…ズミバゼン…伊東……こうしたろう、さん…?」 「か・し・た・ろ・う、よ!か・し・た・ろ・う!!アンタ馬鹿ぁ!?いつになったら覚えるの!?それともワザと挑発して楽しんでるのかしらぁ!?」 ハイ、ワザとです。 勢い良く飛び出した拍子に、口まで垂れた鼻水を袖口でズビッと拭いて、 「俺、昔から読み書きが苦手でぇ。ジッとしてお勉強会とか性に合わなくてめっちゃ眠くなるんですよぉ~。なもんで、これ以上邪魔しちゃ悪いんでもう失礼しますねー、皆さんお騒がせしてサーセンっしたー。」 「ちょっ、ちょっとちょっと!戻りなさいよっ本当に失礼な子ね!コラ!逃げるんじゃないって言ってんでしょーー!!」 呆気に取られた沢山の痛い視線の中、猛ダッシュで部屋から出た。 フン、ピーピーギャンギャン事細かに煩いったら。お前は更年期のオバハンか。 舌打ち鳴らして縁側を早足で歩いていたら、 「おいおいおいおいっ!お前ホンット堪え性ねぇな!てか置いてくなよ!!」 焦り顔の佐之さんが、後ろからドタバタ走ってやって来て、 「はぁ…あんなぁ。俺言ったよな?平助は昔からあの人に心酔してたんだから、嫌でも一応はフリだけはしとけってよ。」 「ぎっ…イダダ…!」 でかい手であたしの後頭部を鷲掴みする。
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