嫌よ嫌よも…

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どうしてだかギロッとあたしを睨んだ左之さん。 「…山崎からの贈りモンが、そんなに大事か?」 「だ、大事っていうか…アレ、わざわざ作ってくれたヤツだし…」 「手製かよっ!」 「ヒッ…!?」 怒り顔でツッこむのやめれ!! 心臓の上に手を置きつつ、ビクつきながら佐之さんの挙動を見守った。 「あーっ!何だそれ!」 「っ!?」 暫く頭をガシガシ乱暴に掻いてたかと思うと、怯えるあたしにやっと気付いて、 「ワリィ…」 その動きを止め、深い溜息をついた。 「…だってお前こっち来てからずっと、あの人のこと苦手みたいだったじゃねぇか。それが…江戸から帰るなり妙に近付き過ぎっつーか、仲良いっつーか……もしかして二人の間に…何かあったんじゃねぇかな、とか…」 ごにょゴニョごにょゴニョ… ん?最後ら辺、殆ど聞き取れなかったぞ? 「え?あんだって?」 バ◯殿みたく耳に掌を添えて聞き返してみると、 「ふぅ…っ…」 「ひゃあン!?」 「ふおっ!?」 あたしは吹き付けられた生温い風に、佐之さんは何かに驚き、二人して変な声をあげた。 互いに目を剥きその正体を確かめる。 「「や、山崎さん!?」」 この男はやっぱり神出鬼没の危険人物だ。 最近じゃ日常茶飯事的にこうしていきなり現れて、 「クククッ、何ちゅー恥ずい声出しとんねん。」 あたしにチョッカイを掛けては、さも満足気にニヤニヤ嗤って馬鹿にしやがってからに。
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