嫌よ嫌よも…

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「き、貴様が何しとんじゃいっ!!」 指摘されて余計顔が熱くなる。 足蹴りをスウェーしてヒョイと避けた山崎の野郎は、 「お前さんにやった『アレ』探しとんのやろ。アレやったらだいぶん前に、伊東はんがコッソリ持ってっとったで?」 「…へ?」 また、イヤラシイ嗤いを浮かべて、 「何や一人でブツブツ『これ可愛いわぁー凄く素敵ィ』や言うてやな。ガッツリ顔埋めて匂いまで嗅いで、キョロキョロ周り確かめてから懐に忍ばせてよったわ。」 手を胸元に入れる仕草をして見せた。 「…それって、つまり…」 ーー下着ドロじゃんっ!! ムンク顔で顔面蒼白。 全身鳥肌を立てるあたしに、 「何だ何だ?つまり山崎さんが作った平助の『手拭い』を盗んだのは、伊東って事か?あの人、お前のこと嫌ってるよな?なのに何でお前の『手拭い』を…?」 我に返った佐之さんが、?マークを沢山浮かべて聞いて来た。 「聞きたいのはこっちだよ!」 「おおうっ!?」 そして『手拭い手拭い』連呼すんな!恥ずさと罪悪感ハンパないだろーーがっ!! 佐之さんに詰め寄ったあたしの後ろで、 「ププッ…『手拭い』ねぇ。何や端に付いとる蝶々結び、えろう気に入ってはったみたいやけど。まあ『手拭い』にしたら他に見た事あらへん形やし、洒落とるっちゃー洒落とるかも知らんなぁ…プハッ!」 事情を全て知った上で爆笑するこの男に、軽く殺意を抱く。
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