嫌よ嫌よも…

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真っ赤な顔で憤慨する佐之さんに、山崎さんのおちゃらけツッコミ口調が炸裂してるとこを見ると、どうやら血の雨は降らさずに済んだみたいでホッと息を吐く。 「兎に角っ!取り返しに行くんなら俺も付き合ってやるぜって話しだ!!」 「…佐之さん、大丈夫?さっきからすんごい挙動不審っていうか……」 「ーーお前が言うかっ!」 「ふええっ????」 どうして今度はあたしが怒られなきゃならないんだか全くわからなくて…二、三歩下がったところに、 「るっせえんだよ、てめえらっ!」 「ひゃわ!?」 背後からまた急に怒鳴り付けられ、飛び上がって振り向いた。 「ひ、土方さん!?ビ、ビックリしたあっ!!何でここにっ、」 「何でだあ?てめえらが長々とギャーギャー騒いでっからだろうが!こちとら気分が悪りぃんだ、もちっと静かにしねえかっ!」 …それは所謂、八つ当たりってヤツでは… 吊り上がった眼に広がった鼻の穴。 イケメン台無しに怒れる男土方歳三は、ついでにあたしの顎を鷲掴みタコさん唇にさせながら、何度もグニグニ頬を握った。 「にゃ、にゃんでほへはっか…!(な、何でおればっか)」 その手を外そうと必死に藻掻くも、 「手頃な位置にあるてめえの顔を恨め、ボケが!」 どうやら思った以上に相当ご機嫌斜めらしく、 「ぎええっ!?」 そのまま引き寄せられ、次は背中からの羽交い締め…みたいな全体重を掛けた、おんぶの形になった。 「つ、潰れるぅ…!」 「いい機会だ、俺の肩にのし掛かった重みを知りやがれ。ついでに俺の抱えた苦悩も思い知るがいい!」 そんな頭が痛くなるようなモン、知りたくもないわい!!
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