銀色の空

嫌よ嫌よも…

でも土方さんが言う苦悩の元凶はあたしと同じ相手に対してのものだから、気持ちはわからないでもない。

あのオカマ野郎がやって来てからというもの屯所の雰囲気とか人間関係が、ガラッと変わってしまって居心地は更に悪くなったし。

弱みを握られないようにひたすら虚勢を張り続けるのは、精神的にも体力的にもかなりツライ。

これまで此処を実質的に統べていた影のドン土方さんが、睨みを利かせていたからこそ何とかやってこれてたけど、最近新選組の内部に伊東を支持する派閥が生まれてからというもの、その影響力も不動のものでは無くなったせいで頼ってばかりもいられなくなったからだ。

大体局長の近藤さん自身が、大々的に伊東をリスペクトしてるのがダメだろって話で。

それが伊東を益々いい気にさせてる訳だけど、逆に新参者の伊東が総長なんて肩書きを貰いのさばっているのが気に食わない輩なんかもいて…隊士達の中では小さないざこざが絶えなかったりする。

あたしなんかも大っぴらに口喧嘩しまくってるから、人の事言えた義理じゃないんだけどさ。

…その内マジで、内部紛争とか起こるんじゃないの？

もし本当にそうなった時、あたしは無事に生き残れるのか…行く末を思うと毎日が不安で、夜もおちおち眠れやしない。