嫌よ嫌よも…

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「……っ…どうして、やめてくんないの…?」 ハイ、これぞ必殺泣き落とし。 此処では男らしく在ろうと日に日にガサツさが増してるあたしなんかで、女の最終兵器ってやつが通用すんのかなーって全く自信はないけども。 「うっ…皆んなには…喧嘩して欲しくないのに…」 演技下手なのを誤魔化す為に、両手で顏を覆って俯いてみる。 「「「………」」」 鼻声じゃないからバレバレ? 肩を震わすってどうすんだ? 指の隙間からは佐之さんと山崎さんの足元しか窺えず、急に静かになったのが作戦成功のせいなのかは全くわからない。 …もう一押しいってみるか? ナンチャッテ~どっきりでした~!とかウケ狙いに変えた方がいい? 静寂に耐えきれず、ナンチャッテオチでこの場を乗り切ろうと決めたその時… 「…副長まで混じって、一体何をなさっているのですか?」 また背後から現れた人物の声を聞き、 や、やったぁ!斉藤さんキターーー!! 隠した口が自然にニヤリと嗤う。 「い、いや、これは違」 「うっせえな、何でもねぇよ。」 「そうそう、他愛も無い世間話ししとっただけですわ。」 …ですわ? 違和感を感じながらも群がっていた男体が即座に離れ、ホッと一息したのも束の間、 「…見た限りでは、何でもない様には見えませんが?」 「そうですね。私にも寄って集って、藤堂君を責めているようにしか見えませんけど?」 斉藤さんとはまた別の、凛とした声があたし達に近付く。
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