嫌よ嫌よも…

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そしたら土方さんは男前の顔を歪めて『フン』と鼻を鳴らす。 「しゃーあんめえよ。かっちゃんが…局長が決めた事だ。」 やっぱり今だに不満タラタラらしく、まるで中まで焦げた焼き芋を食べてるような残念なイケメン顔になっている。 いや、これはこれでウケるんだけどね… それから左右同時に溜息が漏れた。 「にしても、何で伊東があんたら副長より出張ってんだよ?近藤さんが贔屓にし過ぎてるせいなのは一目瞭然だろ。そのせいで近頃じゃあ、引き籠りがちになっちまった山南さんの良くねえ噂まで流す輩もいやがるし。」 「せやな。そこは副長はんが長年連れ添うた恋女房役として、しっかり手綱握っとかなアカンとこやったんとちゃいますか?このままやと元いた隊士らまで吸収されて、バックリ内部分裂しまっせ。」 左之さんと山崎さんは二人して、厳しい視線を土方さんに飛ばし反応を見る。 「う…」 ま、自業自得ですな。 土方さんにとって特別な存在の『かっちゃん』にはべらぼうに弱くて、いつも最後のとこで踏ん張りがきかないっつーか妥協しちゃって、我儘聞いてあげちゃうんだもんなぁ。 「あーっ!クソッ!!」 返答に困ったらしい土方さんは急に大声を上げて、両手で頭をグシャグシャに掻き出した。
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