嫌よ嫌よも…

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「後悔、せんときや。」 「あっ、…!」 甘い声の後に布越しに触れてた先端をキュッと摘まれ、背筋に痺れみたいな変なのが走った。 「そないやって直ぐ頭に血ィ登らせて暴走する悪い子ぉには、少ぉしオシオキしたらんとアカンな。」 「あっ、あっ、」 摘みながらクリクリと指を回され変な声まで出始めて、 「や、やあぁ…っ…」 膝の力もカクリと抜ける。 崩れ落ちかけて…包まれた腕の中。 薄っすらと良い香り。 これは仕事の時にはしない、通常時の山崎さんが使う香の匂いだ。 「ヒャ…!?」 「お、おいっ、山崎!」 うっとりする間も無くお姫様抱っこで抱えられ、 「正直な話し、俺はずうっと気に食わへんかってん。」 焦って引き留めようとする左之さんをひょいと交わし、山崎さんは後ろ向きで土方さんの方へと首だけを捻った。 「最近のアンタはホンマにしょうもない。大将の右腕や言うたかて諌めることも間違いを正すことも出来てへん。終いには歳の離れた女子に喚き散らして、ガキとおんなじような憂さ晴らししてよる。」 「なっ、何抜かす」 「アンタ、何がしたいねん?」 「ーーっ!」 「目指すモンがあったんと違うか?」 「……っ…」 「俺がアンタの下に付いてんのは、こない阿保臭い小芝居に付き合う為とちゃうで。失望させんといてや。」 「………」
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