嫌よ嫌よも…

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その時、山崎さんの全体図を見てピックアップされた箇所が二つあった。 一つは緩んだ褌からハミ出た、フンフンフ~~ンな異物らしい陰。 だもんで、そこは見なかった事にしようと脳内モザイクをかける。 悲しいかな、本人も気付いてないみたいだし。 そして二つ目は…ニヤついた顔とは不似合いな、あちこちにある夥しい傷痕。 中でも一番酷いのは左腹部から横に走る大きな傷で、ろくな治療も受けられなかったのが素人目にもわかる程だった。 「…それって…」 流石のあたしもちょっとビビって、ゴクリと息を飲んだ。 なのに山崎さん本人は、 「あ?…ああ、コレかいな。」 視線の先に気付いても、そう言ってヘラヘラと笑うばかりで。 「ま、俺らは密偵やしな。情報仕入れんのに危ない橋渡んのはしょっ中やさかい、こないなもん別に大したことあらへん。」 「…今はそうでもさ、そん時は相当痛かった筈だよね?」 「せやなぁ…死にそうに痛いんは痛いんやけど、捕まるよりは全然マシっちゅうもんやで。」 「捕まったら…拷問されて晒し首になっちゃうから?」 「せや。直ぐに殺された方がマシやと思う位、ゲロ吐かすまでトコトンえげつない拷問されてまうねん。ウチの副長はんみたいなんねちっこい奴にやられたら、ごっつぅ最悪やな。」 「………」
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