嫌よ嫌よも…

31/37
前へ
/412ページ
次へ
以前聞いた話しが蘇り、想像を重ね気持ちが悪くなって来た。 それは、あたしがこっちの世界に飛ばされた時に起こっていた『池田屋事件』が始まるきっかけの話し。 枡屋の主人が怪しい人物だと目を付けられ、監察官である山崎さん達が潜入捜査をしたら、コッソリ大量の銃やらを隠し持っていたとかで即行捕まって、事件の早期解決の為に土方さんがレトロながらも残虐非道な拷問を繰り返したという…身の毛もよだつ恐ろしい実話があるのだ。 足の裏にでっかい釘刺すとか絵面を想像しただけでも、自分の全身の骨がキュイーンって妙な疼きの音を上げそうで、小さくぷるっと震える。 今にして思えば、池田屋に突如現れた身なりの違うかなり怪しい奴だったあたしが拷問を受けなかったのは、仲間である藤堂平助と同じ顔をしていたっていう、奇跡のおかげでしかなく… 「ま、アンタは餌食にならんで良かったなぁ?」 顔色で心を読んだ山崎さんは、相変わらずのいやらしい笑みを浮かべた。 そりゃあね、それは命拾いしたと思うけどさ。 でも、忘れちゃならない本題は…何であたし達が素っ裸で布団に寝てたのかって事。 「…ていうかさ。それはそれとして…」 「ん?」 「どうしてあたし、脱がされてんの?」 「んん?何やて?」 「だーかーらーぁ!何でこんな事態になってんのかって聞いてんのっ!!」
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2279人が本棚に入れています
本棚に追加