嫌よ嫌よも…

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おとぼけ顔にムカついて噛み付く勢いで迫ると、 「えー?だって、お仕置きするて言うたやーん。」 お花を飛ばして笑うっていう、漫画みたいな表現が良く合うようなわざとらしいニコちゃんの笑顔が返ってきた。 …馬鹿にしてんのか?本気でイラつくわーー… 「素っ裸で添い寝がお仕置きとか、やる事なす事オヤジかアンタは。」 「イヤやわぁ、気ィ失のうてもうたさかい介抱したっただけやん。」 「それはアンタがっ、」 人間技とは思えないやり方で、あたしを運んだからでしょうが! 「あん位で果てるとか、根性ないやっちゃなぁ~」 「グ……」 そこを言われるとマジでぐうの音も出なくなる。 存在自体すら憎たらしくて、力一杯恨みの念を飛ばしてやっていたら、 「…ククッ、ホンマお前は愉快なやっちゃで。」 山崎さんは白い歯を見せて、さっきとは違う柔らかな笑顔を見せた。 んで、 「まぁ安心しぃ。ホンマに手ェは出してへんし。…青ざめてゲロぶちまけとる奴に欲情する程、俺は女に飢えてへんねん。」 ゆっくり起き上がって、近くに畳んで置いてあった自分の着流しを掴んで、ヒラリと後ろへ広げて肩に掛け、両袖を通した。 …寝ゲロ? ちょっとだけ、他人事みたいにクエスチョンマークを浮かべて… 「えっ!?あたしゲボッたの!?」 「せや。せやし脱がしたんやん。」 記憶無く、醜態を晒していた自分を知り、 「オーマイガーッ!!」 両手で頭を抱え、布団に顔を突っ伏した。
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