嫌よ嫌よも…

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さわさわさわさわ…垂れた髪や手がどこかしらを弄り、唇が触れるか触れないかで首筋を徘徊する。 「…何で斎藤はんが、って…思とるやろ?」 「う、うん…っ…」 「…副長はんの命(メイ)でな……俺ら腕利きの監察方は、面が割れてもうてるし…」 腕利きとか、自分で言っちゃったら世話ないと思うけどね。 「斎藤はんやったら…あのお人の人格上寝返ることは先ずないやろし、実際何度か密偵やった経験も他のもんよりあらはるし…」 「…ん…っ…」 「今でこそ実力あって隊長やったはるけどな…実は他の試衛館組とは後から合流しはってんやん。」 「…?…」 「せやし伊東らからしたら、斎藤はんこそが…〝針の隙間〟やと信じやすい…ちゅうこっちゃ…」 〝針の、隙間〟? 「ひ、ゃ…っ…」 究極のこそばゆさに我慢もそろそろ限界で、真面目な話しだっていうのにちっとも頭は働かず… 『何で後からだとそうなんの?』 って聞き返したくても、言葉すら出て来ない。 それどころか密着した状態で、身体を前後に揺すり始められて、 「な、な、何す、っ…!ン、ひゃはわああんぎやあふうーーーーっっ!?」 今迄出した事ない、めっちゃ変てこりんな奇声が口から飛び出した。 そしたら、山崎さんの動きが完全にピタッと止まった…と思ったら、今度はプルプルと震えだして。 「…ク、ククッ…な、何や今の…っ……ホンマ笑わかさんといてぇな、折角の芝居も台無しやで……おまっ、…色気もクソもあらへブッ、クククッ…!!」
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