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人の身体に乗っかったまま、息を殺して大爆笑してなさる。
「んぎやあはひふーーっ、やて…っ!…ぶふっ、あはは…!!」
「…んにゃ…ビミョーに違う気がする…」
最大級の醜態を晒した訳だけども、そこはちょい気になって一応ツッコミを入れておく。
布団の中で必死に声を殺して笑う山崎さんは、全身の力が入らない感じで全体重をあたしに預けていた。
「…ちょっとさー…いい加減重いんだけど?」
山崎さんが笑う度に振動が直で伝わって来て、益々居た堪れない。
両手でグッと押し返すと、涙目で緩みきった顔が見えた。
「あー…ワロタわぁ~……自分ホンマ、オモロうてめっちゃ好っきゃわぁ~」
いつもと違う柔らかな微笑みは、言葉と同じにドキリと胸を跳ねさせる。
のも、束の間。
「…せやしホンマは、危ない目ぇに遭わせとうないんやけどな…」
真剣な眼差しであたしを見ていた。
ドキッとしたのは不意打ちの色香のせい、だと思うことにして…
ゴクリ、と息を飲んだと同時に、
「…斎藤はんはこれから暫くあいつらと一緒や。つまり…あいつらが何企んどるのか証拠を掴まん限り『何があっても』戻って来ることはあらへん。例え、俺らと敵対することになってもうてもな。」
山崎さんの言う斎藤さんに与えられた任務が、どれ程過酷なものかを思い知らされた。
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