獣(ケダモノ)の住み家

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「…行くトコないからさ…脱走とかしないけど…。あた、俺さ…戦えないから役に立たないと思うな…。しかも逃げるのが禁止なら、瞬殺確定かと…。」 池田屋で斬られて殺された人達を思い出して、自分の未来予想図が浮かび鳥肌が立ってきた。 「心配無用です。私が傍にいて、ずっと貴女を守りますよ。」 そんなあたしの手を握って後ろから顔を覗き込んだ総司さんは、お茶目にウインクを投げてくる。 ふえ!?昔の人でもこういう事するんだ! 息がかかるほど間近過ぎて、総司さんの顔なんかまともに見れる訳がない。 きっと今のあたし、真っ赤なんじゃなかろうか…。 クラクラ目眩を起こしていると、 「馬鹿かおめぇは。四六時中おめぇ一人がベタベタ張り付ける訳ゃねぇだろーが。そこらへんは秘密を知る俺達で、順繰りに上手く回せばいいこった。触ってんじゃねぇぞクソガキ。」 土方さんが有り難い発言を……アレ?何故に喧嘩腰? 「いいけどよ、それだけじゃ何の解決策にもなってねぇよな?雅に触んなエロ総司。」 「ああ、もしもの時の事も想定するべきだと思うぜ。雅よこせ変態総司。」 左之さんと新八さんは、あたしの不安を感じ取ってくれた…と解釈していいのか?これは。 本当にいざという時…助けがない、間に合わない時がこの先あると思うんだ。 けど…逃げるのはダメだし、人を殺すとかまず出来ないあたしは、どうにか自分で対処する方法を見つけないといけない。 、
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