獣(ケダモノ)の住み家

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「…だよな、着てるモンから違うんだ。下も違って当たり前か…着物は何とかなってもそっちは…平助のって訳にはいかねぇか…」 「…はい。」 土方さんは唸って頭を掻いた。 「こっちの女達はよ、下に…湯文字ってやつをつけてんだ。」 湯文字? なんじゃそりゃ? 「…どんな形なんですか?」 「形っつっても…長い布っきれを巻き付けて隠すだけだからなぁ。上はサラシは巻かねぇで、襦袢ってぇ薄い寝間着みてえのを着るんだ。」 襦袢?肌着みたいなものかな? けど、やっぱり下は布なんだ… 「まぁお前の場合、サラシは不可欠だな。…ゴホン、あーちなみにだ。…今着けてるやつは…どんなもんか、見せたり出来るか?」 「…はい?」 「いや、嫌ならいいんだが…もし似たようなモンがあれば、山崎に準備させる事も出来るんじゃねぇかと…」 いきなり何言い出すんだ、この人は!? とか一瞬変態の仲間に加えたくなったけど、そう言った後、口を手で覆い隠して目が泳いでいる土方さんは、猛烈に後悔してるみたいだった。 「す、すまん。今のは忘れてくれ。」 見えている肌が赤く染まって、年上なんだろうけど可愛いなって思ってしまったよ。
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