獣(ケダモノ)の住み家

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「こんな…感じのモノなんですが……土方さん?」 「あ、お、おう!」 誰が来るかわからないから早く見て欲しいのに、両手で顔を覆っていてちっとも下着を見ようとしない。 本当に可愛い反応であたしとしては、恥ずかしさより面白さの方が上回ってきてしまいそうだったが… この人に頼んだのは、選択ミスだったみたい。 「…見ないならもう着物着ますね。」 とりあえずいつまでもこの姿でいるのは危険なので、諦めてしゃがみ着物を掴んだ。 せっかくの一大決心は無駄に終わったなぁ…と溜息をついていたら、 「もう終わりですか?勿体ない。」 頭の上から声が降ってきた。 他に人の気配なんてしてなかったから、ビックリして天井を見上げたら、部屋の隅に顔があって逆さまに垂れ下がっていた。 「ぎゃあぁぁぁーーっ!?おばっおばっ、お化けがぁぁーっ!!」 ニヤリと笑うお化けに漏らしそうな程驚いて、膝立ちのハイハイ姿勢で土方さんに突進した。 「ばっ、おまっ、ぐえっ!?」 多分あたしは物凄い不細工な顔をしていたんだろう。 土方さんはあろう事か、あたしを避けて逃げようとしていた。 そこへ飛び掛かり首にしがみついて、耳元で喚き散らしてやった。 「アンタ男でしょ!!あのお化け何とかしてよっ!あたしお化けだけは、お化けだけはダメなんだからあぁぁぁーーーっ!!」 そう…何を隠そう、 あたし『お化け』の類いが、大の苦手なんです! 、
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