獣(ケダモノ)の住み家

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子供の頃…仕事から帰らない母親を待って、アパートで一人留守番をしていた時の事。 一人の時に必ず遊びにきてくれていた子がいたんだけど、母親が帰ると知らないうちにその子もいなくなってるの。 楽しかったしあんまり気にしてなかったんだけど、いつだったか『寂しい?』って聞かれて頷いたら、笑いながら『ずっと一緒にいてあげる』って言って、あたしの手を強い力で引っ張って、2階の窓から落とそうとしたんだ。 泣きながらいっぱい叫んでたら、その子も泣きながら目の前から消えてしまった。 その時やっと気付いたんだ。 その子は人間じゃないって…。 「ぎゃあぁぁぁーっ!嫌な事まで思い出したぁー!!」 甦った悍ましい過去の記憶にパニクって、土方さんの首にガブリ。 「いっ!?ちょっ、待てっ!痛えぞ!?落ち着け平助っ!平っ、雅!!こ、この野郎っ!!」 「ぎゃ!?」 一人だけ逃がしてなるかといつまでもカブりついてたら、今度は土方さんが仕返しで、骨が折れそうになるくらいあたしの体を締め上げて、肩にかじりついてきた。 「やあっ!?痛あっ!!」 もがいて離れようとしたけど、歯は離れても腕の力だけは抜いてくれなかった。 、
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