獣(ケダモノ)の住み家

16/35
前へ
/412ページ
次へ
「暴れんなっ!ありゃ化けモンじゃねぇ!!山崎だっ山崎っ!」 抱え込んだまま叫んだ土方さんの声が聞こえて、 「えっ!?山崎さん!?」 体の力を抜いたらゆっくりと拘束が解かれた。 恐る恐る肩越しにさっきの天井を見たら、まだ逆さまになった山崎さんが、手をヒラヒラと振ってらっしゃる。 「驚かせてしまい申し訳ありません。」 そしてズルッと体を通して一回転をした後、忍者みたいに見事な着地をキメた。 「ななな、何でそんなとこから!?」 不必要な演出に腹が立って、山崎さんに文句を言ったら、 「私は監察方なので。」 とか訳がわからない答えが返ってきた。 「監察方ってなに!?監察する人って事!?覗きが仕事なの!?サイッテー!!」 少しだけいい人だと思っていただけに、怒りで腸(ハラワタ)が煮え繰り返りそうだ。 そしたら土方さんが大きな溜息をついて、 「…監察方ってのは変装や潜伏なんかして情報を集める密偵の事でな。山崎は監察方の助勤…まぁ組長なんだ。普段は俺の傍にいて雑務もこなすんだが、お前のした…したぎとやらも、山崎なら用立て出来るかもって言っただろう?先走って顔出しちまったみてえだが。」 いっぱい説明をしてくれたけど、何か腑に落ちない。 、
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2280人が本棚に入れています
本棚に追加