獣(ケダモノ)の住み家

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「それならそれで最初っから、ここにいたらいいじゃない!隠れて見る必要もないし、あんなトコから覗く必要もなかったんじゃないの!?」 超苦手分野で取り乱すハメになり、素直に「はいそうですか」と言える心境ではなかった。 「デリカシーが足りないのっ!デリカシーがっ!!」 「でりかし?それはどういう意味ですか?」 私が本気で怒ってるのに山崎さんは冷静で、この温度差は一体何なんだろうか。 「うるさいなっ!そういうトコだよ馬鹿!!」 それが益々ムカついて怒りが治まらない私に、山崎さんは困った顔をしてみせた。 「お気を悪くされたのならすみません。…ですが二つだけ言わせてもらってもいいですか?」 「な、なによ!」 目の前までやって来て、今度はニコニコ笑ってるんだけど、何故だか眉間にシワを寄せていた。 逆ギレされるかも知れないとビビり土方さんを楯に、片目だけちょっと出して山崎さんを見る。 「まず一つ。…副長、そんな姿の雅さんをいつまで抱きしめてるんですか。」 「…へ?」 今更ながら言われてみれば、下着姿のままのあたしはまだ土方さんの腕の中だ。 「きゃ、わ!?」 突き放して逃げようとしたら、腕の力が入ってまた抱きすくめられてしまった。 、
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