獣(ケダモノ)の住み家

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「…で?どうなんですか?」 離れた位置に正座をして、山崎さんを見上げて聞いた。 「どうって…」 「下着ですよ、下着!…こっちに似たようなのはあるんですか、ないんですか。」 今までのまどろっこしい経緯(イキサツ)がバカバカしく思えて、早いとこ結果を教えて欲しかった。 「う~ん、そうですねぇ…私が知る限りでは、そのしたぎと似た物は出回っていません。やはりサラシと湯文字を使用していただかないと…。」 あまり期待はしていなかったが、これなら見せるんじゃなかったとかなり後悔した。 「…了解。あーもーヤダ!お風呂入ってさっさと寝ちゃいたいっ!」 両手をワキワキさせながら発狂していると、 「今宵はやめておいた方がいいでしょうね…。皆さん先を競って入ってましたし…湯の汚れ方が半端ないと思いますよ。」 山崎さんが気の毒そうな顔で言いながら、端に布団を敷き始めた。 「わかってるもん。多分そうだと思ってたけど…せめて顔洗ったり出来ないの?濡れタオルとか…汗はベタベタするし血の臭いで眩暈がしそうだよ。布団も汚しちゃうしさ…。」 朝起きたら布団が黄ばんでましたとか、中年のオッサンみたいな二十歳の乙女なんて…絶対嫌だ。 、
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