獣(ケダモノ)の住み家

23/35
前へ
/412ページ
次へ
男の人が出て行った後、土方さんはあたしを見て盛大な溜息をついた。 「お前なぁ…もうちょっと堂々としてろよ。下のモンに示しがつかねぇだろうが。」 「えーだってあた、俺より年上のゴツい人だよ?急には無理だってば。」 「いいんだよ、お前のが上の立場なんだ。強気でいかねぇとナメられんぞ。…喋りは似てんだがなぁ。迫力が足りねぇっつうか…平助は元気と勢いが売りでよ、喧嘩ん時にゃまっ先に突っ込んでく奴でな。そんでついた名が『魁先生』ってんだ。」 「…へぇー。」 『平助』って人の事、力説してくれるのは有り難いんだけど… 性格まであたしに似過ぎてて、やっぱりかなり気味が悪い。 「…じゃあ、別にこのままでいいんじゃん。」 横を向いて小声で呟くと、 「だよなー?平助は手がつけられないお転婆だったらしいぜ。」 「平助の拳はかなりのモンだ。」 豪快に障子が開いて、さっきのメンバーが揃って入って来た。 「お待たせしました。飯にしましょう。」 最後にひょっこり顔を出したのは山崎さんで、お盆の上に湯飲みが六つも乗っていた。 左之さんは大皿におにぎりが山積みのお盆、総司さんは沢庵がいっぱいのお盆、新八さんは…大瓶を持って来て、あたし達の近くに適当に座りだした。 、
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2280人が本棚に入れています
本棚に追加