奇跡は突然やって来る。

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どべちゃっ!! 「ぐえっ!?いっっだあぁぁぁーーーーっ!」 急に体が重くなって、受け身も出来ずに腹ばいの恰好で、まともに落ちた。 顔面を押さえてうずくまっていると、まわりがやけに騒々しい。 …というより、気合いが入った怒鳴り声と、金属がぶつかり合う高い音があちこちから鳴って、中には断末魔の悲鳴が聞こえた。 座り込む足にドタドタと大人数が暴れている振動が伝わり、ハッと顔を上げる。 「なっ、なっ、なにこれ!?」 和服姿の男達が刀を振り回し、血を浴びながら戦っていた。 「ヒイッ!?」 撮影か何かかと思いたかったが、斬られて倒れた男から飛び散る血や死に顔があまりにもリアルで、とにもかくにも部屋の隅に寄り、肩を抱いて小さく丸まった。 「や…だ…なんなの…?お芝居じゃ…ないの?」 暑い部屋に幾つも転がる死体。 鼻につく生臭さとぬらぬらと流れる血。 振りかざす刀は血に濡れギラギラと輝き、目に映る全てに眩暈と吐き気がした。 「平助っ!生きてるかあっ!?」 騒ぎの中一段と大きな叫びが部屋に届いて、思わず体が跳ね上がった。 見ると丁髷の男を一人斬ってから、あたしに駆け寄る大柄な姿があった。 「い、嫌っ!来ないで!!」 後ずさる事も出来ずに、血みどろの男が目の前にしゃがみ込むのを、ただ震えながら凝視していた。 、
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