獣(ケダモノ)の住み家

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「土方さんの体が臭い訳じゃないよ。」 笑って言うと、 「そ、そうか。」 慌てて鼻を動かすのを止めた。 「で…本当に偉い人って誰の事?」 歴史に弱いあたしだけど、もしこの人達が本当に武士だったのなら、ちょっとでも教科書に載っている人の家来じゃないかと期待した。 「俺達を召し抱えて下さってんのは、会津侯松平容保様だ。」 …うん、知らない。 今頃になって、まともに勉強してなかった自分を恨めしく思った。 「その人が1番上なの?」 再び聞いても私には解らないんだろうな…と、投げやりに聞いてみる。 すると、 「いや会津侯の更に上は、俺達が名を口にするのもおこがましい雲の上のお方がいるぜ。幕府の天辺は…将軍徳川家茂様だ。」 「おっ!?」 徳川なら知ってる! けど… 家茂って…誰? 有名な名前が出てテンション上がったけど、またすぐに急降下していった。 あたしの足りない知識では徳川と言えば家康や吉宗、最後の将軍慶喜くらいしか出てこない。 何故慶喜を知っているのかと言えば、この人皆が嫌がる豚を好んで食べてたから、将軍なのにイジメみたいなあだ名をつけられてたから、妙に印象深かったというだけなんだ、実は。 、
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