獣(ケダモノ)の住み家

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「あ、じゃあもう一つ質問!その将軍様って何代目?」 中途半端な数だったら聞いてもわかんないし安心だけど、徳川って確か15代で終わりだから、その付近でさえなければ…。 ずっと戦争しててやっと明治になったんだよね…って…あれは明治維新とかだったっけ? ない頭をフル稼動させて記憶の糸を手繰っていると、 「今か?今は…十四代目になるか。」 1番恐れていた答えが返って来た。 「嘘っ!?マジで!?」 心臓が飛び出しそうなほど驚いて素っ頓狂な声をあげると、土方さんは怪訝な表情をした。 「なんだ?そんなに驚く事か?」 「そりゃそうだよ!だって徳川って言ったら」 言いかけてあたしは言葉を飲み込んだ。 この人は遠い過去の人。 あたしは少なからず先を知っている未来人。 先に起こる事を教えてしまったら…この人達は都合のいいように、動くんじゃないだろうか。 そしたら小さい大きいは関係なく、本来の生き道から外れてしまう。 つまり…それによって違う子孫が産まれたり産まれなかったりで… 未来の形が変わってしまう事にならない!? 『将軍様は負けるから、家来のあなた達はどうなるか解りませんよ。』 なんて絶対に言えない。 、
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