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悪ながら情けなさ過ぎてヘドが出そうだ。
後ろに雅乗せてんのに、派手にジャックナイフ噛ましちまった。
見てた奴の話しだと、俺の頭上を雅が飛んでったらしい。
その後ハンドルから手を離した俺が宙に浮かんで…
道路沿いの植え込みに落ちた雅を、通行人が助けに行った時には、着物を着た血だらけの男が倒れてたんだそうだ。
それがこの…ベッドに横たわる、雅と同じ顔をした奴。
救急車で運ばれ俺は左手首の骨折を、コイツは頭を縫う手術をされた。
一夜明けても目覚める様子はなく、酸素吸入と点滴の管がつけられたままだった。
俺は確かに雅を乗せていた。
なのに、何で…
しかも頭の傷は刃物で斬られたモンで、コイツの腰には刀の鞘だけがぶら下がってたって話しで、もう訳わかんねぇ。
俺に聞いても知らねえってんだよ!
目が覚めた途端、サツは待ち構えてやがるし…
正直に話してんのに、精神鑑定を受けろとまで言われた。
そう言いやがったのは、昔悪さしてた頃に世話になったオッサンだ。
飛んだはずの雅はどこを捜しても見つからねえっつーし、…一体何が起きたんだよ…。
サツは一旦帰ったが、また来るとか吐かした。
それまでにコイツが意識を取り戻してくれるといいんだが…
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