君の面影

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俺の祈りが通じたのか、1時間ほどして漸く瞼がピクリと動き、静かにゆっくりと目を開けた。 そいつは天井を見つめた後、目玉だけ移動させ横にいる俺を見ていた。 何となくだが…様子を伺ってるようだった。 「…お前、ここがどこだかわかるか?」 黙っていても埒が明かない。 思い切って声をかけると、 「うん…多分…此処は……雅の、ところ…。」 そいつは雅に良く似た声を出した。 「今、雅って言ったか!?何でお前っ、雅知ってんのか!?」 身を乗り出して肩を掴むと一瞬顔を歪めた。 「す、すまん!大丈夫か!?」 「うん…ちょっと頭に響いただけ…」 「本当にすまない…俺、焦っちまって…雅が…どこにもいなくて…」 後悔が俺を苦しめていた。 雅を見つけてバイクに乗せなければ… 雨が降り出した時に、無理矢理にでも降ろしていれば…こんな事にはならなかった。 「雅…どこ行ったんだよ…」 椅子に座り頭を抱える俺に、雅と同じ声が優しく話し出す。 「雅は今ね…俺の居た所にいるよ。」 「…お前の?」 「そう、俺達は入れ代わっちゃったんだ。俺が強く願ってしまったから…最後にもう一度、雅に…会いたいって…」 、
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