君の面影

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「じゃあ、平助。雅がどうなったのか、その様子だとお前は全部知ってるんだな?」 「全部…って訳じゃないけど、ある程度は。」 「何でもいい、解りやすく説明してくれ。」 その後ナースがやって来るまでの間、平助は順を追って話してくれた。 雅と平助は双子で幼い頃に生き別れてしまった事。 離れ離れになった妹を見つけ、内緒で二人は何度か会っていた事。 そして一番重要で不可思議な話しは… 「俺達は双子でありながら、違う刻の流れの中で生きてるんだ。」 他の誰かが聞いたら現実味が無さ過ぎて、コイツが胡散臭い奴か、頭がおかしい奴なのかと思われるだろう。 でも、実際に俺も関わったんだ。 頭ごなしに否定は出来ない。 消えた雅の代わりに突如現れた平助。 額の傷と着物と刀の鞘は、どう見ても遥か遠い過去のモノだ。 決定的なのは男女の違いはあっても、二人のなにもかもが酷似している事に他ならない。 どこにも、疑う材料は見当たらなかった。 「信じられないのは仕方がないけど…俺と雅の母は…『刻の渡り人』なんだよ。」 「トキノワタリビト?…タイムスリップの事か?」 「たいむすりっぷって…異国語?」 「あ、そうか…わかんねぇよな。…『神隠し』って言えばいいのか?何かの拍子に在るはずのない時空の歪みに落ちて、忽然と姿を消すんだ。まるで最初から存在してねぇみたいに。それを昔から『神隠し』って言うらしいぜ。」 それに対して平助は、 「近からず遠からずだね。君の言う『神隠し』は本人の意思で消える訳じゃないんだろ?『刻の渡り人』は強い想いと願いが重なった時に、望んだ場所へ飛ぶ事が出来るんだ。ただ…それには条件と代償を伴うけど…」 と言葉を止めた。 、
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