君の面影

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「…強引だったんだよな。子供だったからさ、自分の事ばっかり考えてたんだ。不用意に雅を…怖がらせちゃった。馬鹿だよねぇ。」 自嘲気味に力なく笑い、 「そんでそれからは飛ばなくなった。嫌われたかと俺自身が怯えてね。」 と、肩を竦める。 それは平助の言っていた条件のせいだ。 タイムトリップするには死ぬ覚悟も必要で、何も知らない小さな女の子に突然強要するのは余りに酷過ぎる。 つまり大事な人を想い逢いたいと願う『正』、死の直面に瀕し恐怖で現実逃避する『負』二種類の合わせ技…か? 「今回の事はね…偶然が重なってしまったんだと思う。俺は乱闘で死にかけたし、雅も死ぬ目にあったんだろ?…雅は力の事も知らない上に俺を忘れてるだろうから、多分…俺が引き寄せたのかも…。」 『飛ぶ』つもりはなかった。 混濁した中で無意識の内、最後に逢いたいと願ってしまったみたいだ…と曖昧な事を言う。 そして『刻渡り』の最中、形のない意識と擦れ違いこちらに着く直前に、それが雅だと気付いたらしい。 「初めての感覚だった。前の時は強く眼を瞑っていれば、あっという間に雅のとこに移動してた感じだったのに…今度は最初痛くて怖くて…けど途中から、ふわふわしてて気持ち良くて…」 温かかったんだ、と照れたように頬を染めた。 、
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