君の面影

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それでも落ち着くまでは俺のアパートに居てもらわないと…。 こっちの時代に何度か来た事があるにせよ、右も左も解らない奴を野放しに出来ない。 「雅は…あっちでどうしてんのかな…。江戸時代か…幕末とかヤバすぎだろ。」 平助が頭部裂傷の経過と記憶障害の検査で二週間入院している内に、骨折で自宅療養中の俺は見舞いに行き、少しずつ情報収集を始めていた。 キーワードは、 『元治元年』から来た事と、『池田屋』で乱闘中に入れ替わった事、そして… 『新選組』に所属していた事。 150年ほど前の江戸末期、動乱の時代で急成長した後、賊軍となり脆くも散った一群だ。 調べれば資料はいくらでもあった。 だから平助の事も…。 伝えられている、その生い立ちから死に至るまでの一生を…知ってしまった。 「きっと新八っつぁんや佐之さん達…俺の仲間が、雅を助けてくれてると思うんだ。」 大丈夫だよ…と、俺に言いながら自分に言い聞かせているみたいで…切なくなった。 史実に残る平助は、慶応3年 11月18日 油小路で惨殺される。 それは池田屋事変から3年5ヶ月程経過してからの事。 この先、雅と平助がどんな運命を辿るか…何通りものパターンを考えた所で、何の役にも立ちはしない。 、
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