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油小路で殺されたのは、本当に平助だったのか。
最終的にこの時代で生きて行くのは、どっちなのか。
全てが予測すらも立てられない事なんだ。
それと…いずれにせよ、ここにいる限りいつかは全てを知ってしまう平助が、どんな行動を起こすかもわからない。
何も…
何も手出しが出来ないから、知らないフリして普通に暮らして行くしかないんだ。
なぁ、雅。
俺は…薄情だよな。
お前に何もしてやれない…
次の日、雅の部屋の鍵を手に入れ平助と共にアパートへ訪れた。
「…凄まじいな…」
「…鼻が曲がる…ね…」
2週間以上放置された部屋は、台所の生ゴミが腐敗し悪臭で満ちていた。
「…まずは換気…だな。」
カーテンを開けるとそこには、汚れきった洗濯物が干してあった。
「…マジか。」
窓を開け、仕方なく洗濯物を適当な袋に詰め込んだ。
先に住人不在の部屋を簡単に掃除し、必要な物だけを捜す。
机の引き出しやクローゼットからそれらは見つかり、今日の所は一旦引き上げる事にした。
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