奇跡は突然やって来る。

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「左之!助かったぜ!!」 こんな状況なのに笑い合ってるなんて、この人達頭おかしいんじゃないの!? 体を震わせて涙目になったあたしの姿を見て、左之と呼ばれた男はやっぱり、 「平助!?なんだお前その着物はっ!?」 同じ台詞を叫んでた。 「あた、あたし、平助なんて人じゃ」 「今そんな事言ってる場合じゃねぇぞ。話しは全部終わってからだ。平助!とにかく刀を持て!!左之っ!平助はおかしな事になっちまってるが、死なせる訳にはいかねぇ!しんどいだろうがコイツ庇ってやってくれ!!」 言葉は遮られたけどこの人の言う事は尤もで、左之さんて人は直ぐに頷いて、次に襲って来た男と戦い始めた。 「平助!これ持てっ!!」 渡されたのはさっき死んだ男が握っていた刀で、拒む手に無理矢理握らされてしまった。 「やっ、刀なんて使った事な」 「つべこべ吐かすなっ!死にたいのか!?」 怒鳴りながら斬られた手にグルグルと布を巻き付けて、あたしの腕を引っ張って力任せに立ち上がらせた。 その顔が恐くて何度も首を振ると、 「よし!絶対に俺達から離れんなよっ!!」 ニカッと豪快に笑って、また一人飛び掛かってきた男を一発で斬り捨てた。 、
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