君の面影

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「失踪じゃなく刻を渡ったとして…行くとしたら、やっぱお前らの親父んトコじゃねぇのか?」 まさかあちこちの時代に飛んで、こいつらの兄弟増やしてる訳じゃないよな… そんな事してたら今頃タイムスリップが日常化して史実は捩曲がり、世界中で戦争勃発…地球は滅ぶ。 有り得ない勝手な想像に身震いがした。 「う…ん、どうだろう、それは…ないんじゃないかな。」 戸惑いがちに話しながら、平助は高い空を見上げた。 「母上がいなくなったのって、父上が原因なんだ。」 懐かしみながらも哀しみを帯びた眼は、遥か遠くを見つめているようで、かける言葉が見つからない。 「父上がさ、正妻を娶るって話しになったらしくて…素性の知れない母上はどうやっても一生妾のままなんだよね。一応跡取りの事考えて俺だけ置いてったみたいだけど…運のない事に正妻には男子(オノコ)が産まれてさ。…結局お払い箱になっちゃった訳。」 重い空気に堪えていると、 「どうせなら、俺も連れてって欲しかったなぁ。そしたらこの時代で一緒に生きて…母上がいなくなったとしても、二人で支えられただろうし…蓮司ともずっと前から友達になれたのに。」 俺の前に回り込んで、明るく笑っておどけて見せる姿が酷く痛々しい。 、
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