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考えてみれば新選組は男所帯…
本来なら女人禁制の場所なハズ。
だがこの双子、一卵性で男女の差があるにしても超似過ぎだろ。
もし雅を保護するとしたら…
『平助』として身近に置いとくのが、1番手っ取り早い。
アイツ…喧嘩は強い方だったけど、荒くれ猛者共を従えさせられんのか?
いや、それよりも…
男に免疫なんてある訳ないよな…
彼氏とか見た事も紹介された事もねぇし。
昔は避妊具とかなくて、ヤりたい放題ヤられまくりで、ガキもわんさか…
…なに飛躍してんだ俺。
妄想だけが先走り、自己嫌悪に陥りそうだった。
「アラ?落ち込んじゃった感じ?ごっめーんねー?」
ぶりっ子で謝ってんのに、こんなあからさまで悪意たっぷりの男、初めて見たぞ。
「でもさ~あ?本気で惚れてるなら、そういう雅もちゃんと受け止めて欲しい訳よ、お兄ちゃんとしては。」
「解ってんだよ、んな事ぁ。」
プリクラを取り上げ本へ挟み直す。
「くんないの~?ケーチケーチ。」
「うるさい、黙れ。てめぇのツラでも撮りゃいいだろーが。さっさと食っちまえ。」
しつこいブーイングに対抗して、テレビの音量を上げる。
ちょうど雅が観ていると言ってた音楽番組がやっていて、今頃不便な生活をしてるんじゃないかって物思いに耽っていると、また平助が興味深げに現代楽器の事を尋ねてきた。
平助はずっとこんな調子だし、雅も昔の日本で大変な思いしてんだろうな…
ただひとつ極端に違う点は、江戸末期に未来から飛ばされた女が、例え心強い助けがあったとしても『あの新選組』に身を置いて、犯されず殺されず生きて行けるのかって事だが…。
お気楽なアニキの相手をしながら、俺は愛する女の無事を祈るしかなかった。
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