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「ぷっ、どうして謝るんですか?」
…笑われちゃったよ。
「えと、うーん、何となく?」
テヘヘと笑いごまかせば、山崎さんもまたフフッと笑う。
和やかな朝だなー。
昨日は人殺しをいっぱい見て、危ない目にもあって…今だに夢の中かと勘違いしてしまいそうになる。
でも、朝目覚めて山崎さんとこうして喋ってるし…夢じゃない。
私にはこっちが現実なんだ。
「今日は…あた、俺は何すればいいの?」
乱れた髪を適当に手で梳いて、ポニーテールにしていると山崎さんが胸元から何かを出した。
「良かったらやりましょうか?」
手に見えるのは丸みのある変わった形の…櫛かな?
「うん、お願いします。」
布団から降りて山崎さんの前に座る。
静かにゆっくりと櫛で梳く手つきは、しなやかで優しい。
「…今日は残党狩りをやるそうです。」
頭の上で声がした。
「残党狩り…そういえば昨日、土方さんが言ってたような…」
「藤堂さんには私が付き添うようにと副長から指示が出ていますので、ご安心を。…ハイ、出来ましたよ。」
「早っ!あ、ありがとう…って、紐は?」
原田さんから貰った紐はまだ私の手にあるのに。
綺麗に纏められた髪を触り、上で縛られた紐に触れる。
「柔らかな髪質なので櫛の滑りも良くて纏めやすかったんですよ。貴女には明るい色が映えるかと思いまして、使い古しの私物で申し訳ないですが朱い紐を結わえました。…いかがですか?」
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