色魔退散!

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軽い眩暈を覚え、鼻と口を押さえながら揺れる。 「副長、藤堂さんには眼の毒です。」 「あ…?…ああ、すまねぇ。」 着崩れた箇所を直しながら、土方さんは立ち上がった。 「ちったぁ眠れたのか?今日も忙しくなるぞ。」 咳ばらいをしてから、いつまでも赤面するあたしの頭を撫でる。 「…山崎さんと同じ事言っちゃってるし。つーか何で同じ布団で寝てんの?…心臓に悪いじゃん。」 自然と唇が尖ってた。 そしたら土方さんはちょっと困った顔をして、 「…鼾が聞こえてな。」 「は?…鼾?」 すぐに後ろを向き肩を震わせ始めた。 「んで覗いたら…プッ…」 「…もう言わなくていいです。」 疲れきって寝ている自分の姿が眼に浮かぶ。 添い寝されてた理由へ辿り着くより先に、恥ずかしい失態を聞くハメになるとは思わなかった。 でも土方さんが言うって事は… 山崎さんをチラッと見たら、 「副長は大袈裟なんですよ。鼾っておっしゃいますけど永倉さん達に比べたら、可愛いものだったじゃないですか。」 と言って微笑んだ。 、
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