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よし、と腹をくくって私はドアを閉めると踵を返した。
前に一回同じ目に合った。
その時も、母と誰かの――ヤってる声まで聴いてしまった。まだ中学生だった私は、それがひどくおぞましくけがらわしく嫌な思いがして、泣いて、吐いて、大騒ぎして、母に告げたんだ。
もう一度同じことをしたら出ていくって。
だから、いいよね?
もう、これ以上の我慢、無理。
バイバイ。
もう、こんな生活まっぴらだ。
料理だけはうまい母親だったけど――そんなこともうどうでもいい。
気を抜くと吐き戻して号泣しそうだったから、私はぐっと唇を噛み締めて駅に向かい、東京行きの新幹線に飛び乗った。
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