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 とりあえず、夜寝るところを探さなきゃ。  私は店を後にして、きょろきょろしながら大きな街をあてもなく彷徨っていた。 「ねぇ、おねーちゃん、一人?  良い仕事紹介しよっか」  ただホテルを探して歩いているだけなのに、スーツを着崩した男が、にやにやと詰め寄ってくる。タバコと酒の匂いが鼻についた。  じゃらじゃらと胸元を飾るゴールドのネックレスが、やけに下品に見えた。 「っと……ううん。間に合ってます」  私はちょっと後ずさりながら、小さな声でそう言う。 「そ?  じゃ、お金使える楽しいところに連れてってやるよ」  にやりと笑うと、ぐいと強い力で手を掴まれた。 「――やっ。  結構です」  精いっぱい張り上げたはずの声は、情けないほどに震えていた。 「遠慮しないでこいよ。  折角俺が――」
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