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一団を率いるということは、想像以上に難しい。
誰もが自分と同じように動けるわけではなく、言われたことをすぐさま実行できるわけでもない。ただの騎兵として自由に動き回れたらどんなに楽だろう。たまにそんなことも考えるが、現実はそううまくいくものではない。
太鼓の音が響き、また移動が始まる。起点となる隊の動きに合わせて移動し、すぐに隊列を整えなければならない。
「行くぞっ!」
超水が声を張って仲間を引き連れていく。
超水隊のすぐ近くを、鮮やかなほど綺麗にまとまった部隊が動いていった。
超水が先生と呼んで慕っている男、龍角の率いる部隊だ。龍角が部下にどのような助言を与えているのかは分からないが、彼の隊は傾斜やヒビをものともせず、素早く移動していく。
「十二隊ッ!」
また馬徳の怒声が聞こえる。
超水はめげそうになっていた。
やっとの思いで自隊を動かすと、調練はそこで終わった。
「派手に怒鳴られたな」
解散していく隊を見ながらため息をついていた超水は、龍角に声をかけられた。
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