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彼が宙に描いたダビデの星は、放たれると同時に目の前の物の怪――狐龍を捕らえた。顔と九本の尾は狐だが、その脚は二本しかなく、背には翼が生えている。二本の足はまるで鳥のようで、獅子の如く鋭い爪を携えていた。
橋田基則公の城の中庭――中央に植えられた松とそれを囲む岩を挟み、彼は自分の何倍もの大きさの狐龍と対峙していた。燕脂色の着物を見に纏う彼は、京でも名高い陰陽師である。
狐龍は異常に発達した犬歯でダビデの星を喰い破ると、その尾を勢いよく奮って彼を吹き飛ばした。城内の壁に叩きつけられ、呻く彼。そのまま前に倒れる身体を、腕に精一杯の力を入れかろうじて起こした。
『お前ごときにこの私が倒せると思うな!!』
そう言って火を噴く狐龍。城は炎に包まれ、酸素を奪い、身体の温度を上昇させていった。
またも九尾が奮われることを察した彼は、手と脚に一気に力を入れ、跳ね上がる。そのまま尾に着地し、駆け上がりながら小刀を抜く。
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