第五章

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「八幡のもんだとよ」 ガキ大将が言った。 「八幡の!?なんでこんなところまで!!」 「人を訪ねとるんだとよ」 由江が答える前に、ガキ大将はするすると答える。ガキ大将と友達らしい3人は、「はぁー」と感嘆の息を漏らしていた。 「喜助、おめえ、押さえるとこ押さえとんな」 「どういう意味だっ!!」 ガキ大将の拳骨が飛ぶ。由江は思わず口を手で覆い、言葉が出なかった。ただただ、驚いたのである。 「いってぇ~」 と頭を押さえつつ目が合った友達の一人が、手を差し出してきた。 「俺、弥七だ。よろしくな」 その笑顔は、とても無邪気だ。続いて、それに便乗するように「おらタイガ!」「俺は、友吉」と挨拶をしてくれた。そうもされると由江も、 「私は、由江です。よろしくね」 と素直に応じてしまう。ガキ大将は「ケッ」と言いながら背中を向けて歩き出す。タイガと友吉は慌てて追い、弥七も追おうとしたがふと由江に振り向いた。 「あいつは、喜助だ。どうせ名乗りもしてなかったんだろうけど、悪い奴じゃねえんだ」 と言った。 「由江も、来いよ。いい穴場があるんだ」 釣具を見せつけるように持ち上げる。少し戸惑ったが、これから先の道程を思えば、魚の獲得方法を見ておくのも無駄ではないかもしれないと思い、ついていくことにした。
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