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「せんぞく…てんし…?」
センゾクテンシ。寝起きの脳には、まだ何がなんだかわからない。
「やっぱり可愛い。僕のゆうとくん」
「ん…ぅ…」
顔が近づいてきて唇が触れ合ったと思えば、彼の舌が口の中に侵入してきた。しようと思えば抵抗は出来た、だけど何故だか僕は、抵抗しなかった。
「ふ、はっ…」
唇が離れ、ペロリと自分の唇を一度舐めた彼は再び僕に微笑んだ。
「なんで僕の名前…?」
ゆうりなんて子、少なくとも僕のクラスにはいない。第一、制服じゃなくて真っ白なワイシャツに黒の蝶ネクタイをしている。
「僕は、ゆうとくんの事ならなんでも知ってるよ?ずっと、君を見てきたから。勿論、虐められている事も死にたいと思っている事も」
衝動的に顔を背けるように彼の胸に顔を押し付けた。本当に全てが見透かされていそうな気がしたから。
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