出発の朝と温泉と

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篝を置いて室内に戻ろうとしたら、途中で聖と目があった 聖奈「(あら?橘内を置いて行くの?)」 何となく…目がそう語ってるような気がする なのでこちらからもアイコンタクトを取ってみよう 桔梗「(篝は慧がいるからいいだろ? 俺は残る理由がないからな!!)」 慧と篝なら問題ないだろうけど、そこに俺がいる理由はない というより、俺はこれ以上ここにいたくない 同級生の女子と同じ風呂に入るなんて予想外すぎて、これ以上一緒にいると本当にパニックになってしまう 篝「っておい梗!!なにお前だけ逃げようとしてやがる!!」 桔梗「見つかったか… だが篝よ…俺はこれ以上ここにいると、何をするかわからん」 篝「『旅は道連れ、世は情け』って言うだろ!!」 桔梗「『情けは人のためならず』とも言う!!」 それから5分程、俺と篝は言い合いを続けた 俺達の言い争いを止めたのは… 慧「うるさい」 という慧の静かで、とても重たい一言であった 桔梗「なぁ…聖」 聖奈「ん?なによ?」 桔梗「…なんでお前は俺の隣にいるんだ? こういう時って、女子は男子から離れてお湯に浸かるもんじゃないの?」 どういう訳か、聖は俺の隣で湯に浸かっている 慧と篝は少し離れた所で、俺達のように隣同士でのんびりしている 聖奈「…だって、慧が篝と2人きりになっちゃったんだもの それに梗の性格だと、私の方は見れないでしょ?」 桔梗「…事実だけに言い返せない」 聖の言うとおり、俺は最初出くわした後は聖の方を見ていない 見たいという男の本能よりも、見てはいけないという理性が勝ってるからだと思う ジロジロ見るのは失礼だと思うし、そもそもこの状況にまだ頭が追いつけていない気がする
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