出発の朝と温泉と

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~聖奈Side~ 慧「お待たせ」 私が部屋を出てすぐ、慧が手提鞄を持って出てきた 聖奈「大丈夫、私も今来たばかりだから」 慧は人を待たせるタイプじゃないから、私もその心配はしていなかったけどね それから私達は、さっきの晩御飯の感想を言い合いながらお風呂に向かった 5分程歩いた所で『男湯』と『女湯』の暖簾が見えてきた 聖奈「梗の言った通り、今は空いてるみたいね」 脱衣場にある籠のほとんどはひっくり返されたままだし、中からは声があまり聞こえない さっき梗が言ったように、今はほとんどの人が食事中みたいね さっそく私達は服を籠の中に入れて、バスタオルを身体に巻いて浴室に向かうことにした 聖奈「わぁ…『神楽』の風呂も広かったけど、ここも広いわね」 慧「誰もいないから、さらに広く感じる」 見た感じの広さは、浴槽だけで7m×8m位はありそうね しかも慧が言った通り、室内には私達しかいないからさらに広く感じるわ 外に出るためのドアがあるし、多分他の客は露天風呂に行ってるんでしょうね 聖奈「さっそく入りましょ」 慧「ん」 昼に『神楽』で身体と髪は洗ったし、今は温泉を満喫したい 私と慧はかけ湯をすませ、すぐさま温泉に入る事にした 聖奈「ん~…気持ちいいわね~♪」 慧「同意」 表情には出ないけど、慧も気持ちよさそうね 普段は必要以上に自分の意見は言わない慧だけど、素直な感想は言ってくれるから分かりやすい 第一印象では分かりにくい所もあるけど、思ってるほど無口無表情ってわけじゃないのよね 慧「そう言えば」 聖奈「え?」 なにかしら?珍しく慧から話がきそうね 普段は私から話を振るのが基本だから、慧から話を振られるのは珍しい 慧「聖奈は、穂坂のことをどう思ってる?」 …はい?なんだか慧らしからぬことを聞いて来たわね シレッと聞いてくるあたり、慧らしいと言えば慧らしいけど…
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