出発の朝と温泉と

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聖奈「梗のこと…そうね…」 梗のことを少し考えてみると、すぐに出てくるのは漫才のようなやり取り 普段は橘内や穴見にツッコミを入れてるのに、私にだけはボケてくる事とかかしら? そんな事を考えていると、心臓がドクンと強く脈打つのを感じた 聖奈「…橘内達よりは、仲のいい友人だと思ってるわ でも、それ以上でもそれ以下でもないって感じかしら」 それが私の正直な気持ちだと思う 慧を女の親友と言うなら、梗は男の親友と言っていいとさえ思う でもそれ以上の感情は、少なくとも今の私にはない 慧「友人以上、恋人未満」 聖奈「よくある恋愛小説の、主人公とヒロインみたいな関係ね でも人間関係ってそんなものじゃない?先のことなんて誰にもわからないんだし もしかしたら私が梗と付き合うかもしれないし、違う人と付き合うかもしれない 仲のいい友人であることは事実なんだし、『友達以上、恋人未満』の表現があってると思うわ」 何かの漫画や小説みたいに、先が決まってるなら違うと言えるかもしれない けどそれが分からないから、否定してしまうのも違う気がする それなら『現状でどう思ってるか』が一番大事なんだと私は思う 慧「ん、わかった」 聖奈「でも急にどうしたのよ?慧にしては珍しい質問よね?」 慧が私に質問する時って、大体は『○○はどこ?』みたいな質問が多い 今回みたいな質問が来るのは、正直私の中では意外だった 聖奈「もしかして…慧って梗のことが好きなの?」 慧「違う」 違うとは分かっていたけど、即答なのは流石慧ね… 梗が慧に恋愛感情を抱いていないのは知ってるけど、さすがに今の即答には同情してしまうわ… 聖奈「じゃあどうしたの? 慧が私に梗のことを聞くなんて、珍しいじゃない」 慧「篝に頼まれた」 そんな事だとは思ってたけど…やっぱり橘内が原因だったのね 慧「『琴瀬は梗に好意があるはずだ!!それとなく調べてくれないか?』って頼まれた」 …それとなくって言われたんじゃないの?今のって結構直球だったわよね? そして橘内…後でどうしてくれようかしら?
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