209人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、2人はここで待ってろ」
「ああ。」
「どうせ、俺達妖には入れない場所だからな。」
「じゃ、行って来る」
そう言って俺は襖を開けた。鬼童丸と未連祈、他の妖もこの敷居を跨ぐことは許されない。強い結界が施されているから。
2人は俺が帰るまでずっとあそこにいろんだろう。
俺はそのまま前に進む。入ってからもまだまだ続く道に嫌気がさして来る。
そしてやっとー…、本人達がいる場所に到着した。
「母様、婆婆様、柚姫です。」
「座りなさい。」
凛とした女の声を張るのが俺の母。黒髪に後ろで結っている。婆婆様というと、ほぼ白髪。で、よぼよぼな婆さん。だがとても健康体。
「今日、貴方を呼んだのには重大な伝えがあります。」
「……何でしょうか?」
「昨日、大森月宮学園という高校の理事長から連絡というか、依頼がありまして…。学園内に妖がいる…と言われました。」
学園に妖…?そもそも、表の世界の人間がどうして神凪に…。
「その理事長とやらは、裏社会に携わる人間と関わりがあるらしく、相談した所、神凪を紹介したそうです。」
「そうですか…。で?俺にどうしろと?」
「その学園に編入し、調べて欲しいのです。もちろん、妖がいたならば祓ってくださって結構。梦月櫻とあなたのお目付役3人を連れて行きなさい。
それに、母としても貴方を甘やかし過ぎたかもしれません。こんな箱入り娘になるとは…」
いや、俺息子だからね。そこ忘れたら駄目だよ。いくら女みたいだからってさ……。
「それに…神凪の血肉はどんなものでも引き寄せる。美しい容姿に全てを魅惑する神凪の血はいつも危険が伴います。
だから私は貴方を危険な目を合わせまいとずっと屋敷からださず、家庭教師だけで勉学させてきましたが、貴方にも学校というのを知ってもらいたい。
私情を挟みますが、これは母からの依頼と思って受け取ってください。」
「母様……」
そんな事思ってたのか…?全部言い終えた母様の顔は緩んでいて、とても綺麗だった。
「はい。その依頼、お引き受けします。」
「…では、詳しい内容を伝えます。」
.
最初のコメントを投稿しよう!