第壱章

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暫く歩いて、広い縁側のある庭につく。俺はそこに腰をおろしてある名を呼んだ。 「真珠浪」 俺が一言そう呼ぶと、バサバサと漆黒の翼を羽ばたかせ1人の男が俺の前に降りてきた。 「お呼びか、姫」 「うん。お前に言わなきゃならない事がある。」 「は」 そして鬼童丸達と同じ事を告げると、黒い髪をした端正な顔をした男、正確には天狗の大妖怪、真珠浪だが、真珠浪は口をあんぐり開けて立ちっぱだ。 「そ…それは誠か…姫」 「正真正銘、真実だ。」 「な、なんと!姫と拙者が一つ屋根の下!」 「今だってそうだろうが…」 「はっ…!拙者とした事が取り乱してしまった…!失敬。承知した。」 「お、おう……」 1人で慌てて冷静になるって凄い技だと思う。特にコイツはそれが多い。感情豊かなんだろうなとは思うけど、俺の前だけなんだよな。やっぱ主だからってのもあんのか…? まあいいや。 「そういう事だから、明日から頼むな…」 「了解した。失礼する」 真珠浪はそう言うとまた飛んでどっか行ってしまった。 「さ、俺も荷造りするかな…」 それから、俺は自分の部屋に戻って荷造りを始めた。 「…梦月櫻。母様と婆婆様の話聞いてたか?」 俺がそう言うと、周りが一気に真っ黒な空間になった。 本当は、梦月櫻の空間に呼ばれたんだけどな。 普段話もしなければ、出て来ることもない梦月櫻だけど、用がある時はこうやって自分の中に俺を呼び込む。 「…で?俺をこんな空間に呼んだのは何で。梦月櫻…」 そいつは、梦月櫻は俺の真正面に、綺麗な…だけど暗い藍色の長髪で黒い羽織を羽織ったかなり整った顔の男が立っていた。 .
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