第壱章

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「おいこらー!」 凄まじい声と共に赤髪の男が未連祈に体当たりした。 「………嘘…」 鬼童丸の勢いが強すぎて2人はそのまま後ろに吹っ飛んだ。 柚姫は唖然として2人の行く末を見る。その2人はというと、アタックしてきた鬼童丸に未連祈が怒り怒鳴り、それに鬼童丸が逆ギレしてという光景が目の前にある。 こういう場合止めた方がいいのかな…?でも、なんか盛り上がってるし…。別にいっか。ほっとこ。 「てめっ、何姫と2人きりになってんだよ…」 「姫が部屋から出たからお供するのが俺たちの役目だろう?」 「狐のくせにでしゃばんな」 「はっ、お前こそ暴れ鬼のくせしてデカイ面するな。」 2人の間で火花が散っている。こんなやり取りをみてるとたまにこいつらが妖だってことを忘れさせる。それを前婆婆様に言ったら…、 『いけませんよ、柚姫。外は人の形をしていようとも中身は妖。妖に心を許してはいけない。所詮、黒き闇を内に飼う獣なのですから…』 て、言ってたな。どうしてそこまで婆婆様が妖を嫌うのか分からない。いや…分からなくもない…けど、俺は俺の大切なものを傷付けられるのは許せない。もし、そうなったら俺は人だろうが妖だろうが躊躇わず斬る。 ーどうせ、俺も身の内に闇を飼うバケモノだー 「…姫?」 「どうした?」 考えに耽ってたらいつの間にか鬼童丸と未連祈が近い位置にいた。 2人共、すごく心配そうな目をしてる。俺が…そんな顔してたから? 「なんか凄い…心ここたあらずって感じで…」 「何かあったか?」 「むしろお前の登場でこうなっただろうが。」 「んだと、未連祈!それはてめぇだろーが」 「はー…。鬼というのはどいつもこいつも頭が空っぽなのか?」 「あぁん?」 「……ぶふ」 「…姫、何故笑う?」 「いや…2人って仲良いんだなと思って…」 どこか、似たもの同士って雰囲気があるよな。 .
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