第壱章

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婆婆様、いつ隠居するんだろうな…。 そんな事を思いながら朝食を口に運ぶ。鬼童丸は部屋の外で見張り。この部屋は特殊な結界が張られてるから、鬼童丸達みたいな"妖"は入れない。 「さてと……。行くか」 「てめっ、未連祈ーミツキー!何しに来やがった!」 部屋から出ようと立ち上がったら何やら部屋の外が騒がしい。大方予想はつくが……、 「何しに…だと?そんなもの、姫の護りをしに来たに決まっているだろうが。馬鹿か貴様」 「ああ?」 ……ふう。 「お前等…また喧嘩してんの?」 「だってこいつがよ!」 「鬼童丸、いちいち怒鳴るな。それと未連祈。鬼童丸を挑発するような言動は止めろ。」 「努力する。それより、おはよう。姫」 「おいおい…それよりってなぁ…。あぁ、おはよう。」 全く、こいつは本当に…。まあいいや。これ以上言うのも面倒だし。 未連祈は薄く明るい金髪で、前髪が長く、どっかの執事のような美形な顔と文句無しのすらっとしてるけど筋肉ついてますルックスで羨ましい。 カッコよくてルックスがいいって、理想だよな…。 いや、俺はちゃんと自覚してるからな。自分の容姿は。小さい頃から腐る程うんたら聞かされてきたんだ。 「今日も美しい。本当なら俺も姫と一緒に床入りしたいのだが…何分理性が持つかどうか…」 でも見かけによらずこいつはムッツリ。所構わずそういう話になる。 「あー…はいはい。俺、今から行かないといけないから…」 「分かった。お供する。」 そして、2人は途中、ときどき口喧嘩しながらも俺の後ろを歩いた。 ずーっと歩いて、屋敷の1番奥の部屋。そこが当主となり巫女となった者の自室となる。そこに、俺の母様と未だ隠居しない婆婆様が待っているそうだ。 .
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